肝硬変になっちゃう最も多い原因とは??

欧米では肝硬変というとアルコールといわれるくらい、アルコールによる肝硬変が多いのです。

さまざまな国からの報告がありますが、肝硬変のうちの約80%がアルコール性です。

わが国では13%です。

このようになぜ、欧米にアルコール性の肝硬変が多く、日本では少ないのでしょうか。
その答えを出すために、まず各国のアルコール消費量を比べてみましょう。

1991年の人口1人当たり年間アルコール消費量を純アルコールに換算すると次の通りです。

フランス→ 11.9リットル
アメリカ→ 7リットル
日本  → 6.6リットル

実にフランス人は、日本人の2倍近くも酒を飲んでいることになります。

そして、世界でもっとも酒を多く飲むこのフランスでの肝硬変は、その8割がアルコールによるものです。

これでアルコール消費量の多い国では、アルコールによる肝硬変の割合も高い、ということがおわかりと思います。

次に、アルコールの消費量と肝硬変の死亡率との関係を調べてみますと、1996年は、フランスの消費量1人当たり27リットルで肝硬変死亡が10万人当たり45人、20リットル消費のイタリアで26人、31リットルのカナダで11人、7リットルのオランダで5人、そして6リットルの日本が5人となっています。

このことから、アルコール消費量の多いところでは肝硬変による死亡も多い、ということが明らかです。

逆に、アルコール消費量が減ると肝硬変も減るか、ということを調べてみますと、パリでは第一次大戦、第二次大戦下で肝硬変による死亡が大きく減少し、アメリカでは1920年代の禁酒法時代にやぱり肝硬変死亡が減ったという有名な歴史的事実が、それを雄弁に物語っています。

肝ガンの増加とアルコール

アルコール性肝硬変の増加はおさえられたようですが、肝がんはむしろ増加しております。

すなわち、全肝硬変中に占めるアルコール性肝硬変の比率は1967年には11.1%であったものが1978年には20%にまで増加、しかしそれ以後は横ばいか徐々に下がり、1991年には13%となっております。

ところが、アルコール性肝硬変に合併する肝がんば増加の一途をたどり、1976年には11.8%であったのが1991年には36%を占めています。

アルコール性肝硬変はそれほど増えていないのですから、この肝がんの増加はアルコール以外の要素が関係しているにちがいありません。

そのうちの一つはC型肝炎ウイルスです。

私どもの病院でアルコール性肝障害中のC型肝炎ウイルス陽性の割合をしらべましたが、単なるアルコール性の脂肪肝などではゼロ、アルコール性肝硬変50%、肝がん合併例では70%でした。

アルコールを日本酒にして3合以上飲石人の中からアルコール性肝障害が生じてくるのですが、肝硬変さらに肝がんに至るには、アルコールの他にC型肝炎ウイルスがかなり大きな役割を果たしているにちがいないと考えざるを得ないことになりました。

そこで、お酒を飲んで肝臓を悪くした場合でも、もしC型肝炎ウイルスがいるのであれば、事情さえ許せばなるべくインターフェロンを早めに投与してウイルスを追い出し、肝臓を直して、それ以後の進展を阻止するようにした方が良いと思われます。

アルコール性肝障害の増加

わが国においてアルコール消費量は年々伸びています。

すなわち、国民一人当たりの純アルコール消費量は一丸六九年には四・ニリットルでしたが、1980年に5.0リットル、1991年には6.3リットルを示しています。

もっとも1987年以降は6.3から6.5リットルの間で横ばいか、わずかな伸びに止まっています。

それと共にアルコール性肝障害も増加しています。

しかしその関係は1948年までは並行しておりましたがそれ以後はやや減少しております。

1965年から1991年までの動きをみてみると、1980年までは全肝疾患中のアルコール性肝障害は5%から15%と急上昇しましたが、それ以後はやや低下し、1991年は10%となっています。

とくにアルコール性肝硬変は1968年3%から1985年6%まで増加しましたがそれ以後は低下し、1991年には4%となっております。

このことはアルコール消費量の増大はあるものの定期検診などにより、ある程度大量飲酒の習慣が抑えられたことが一つの原因とも考えられます。

プロフィール


サイト管理人:藤田 正
某病院につとめる中年男性。
みんなで楽しくお酒をのむことが大好きです。

お酒にまつわるちょっと怖い話や、
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