肝機能数値が高い原因は”気にしない方がいい”理由とは?

肝硬変でも、慢性肝炎でも、何年と治りにくいことがあります。

少なくともGOTとかGPTという検査や、TTTとかzTTなどという検査の数字がなかなか正常にもどらないことが多いのです。

長くかかる人は自分でも肝臓のことをよく勉強していて、GOTならいくらが正常で、今回、がいくらだからこの前よりもよくなったとか、
悪くなったとか、メモをとっていく人がいます。

こういう人は診察室に入ると、まず手帳とボールペンをとり出して、さてという具合に私が数字を伝えるのを待っているのです。

数字はキチンと教えますが、しかし数字ノイローゼにかからないように説明しています。

そもそも私たち医者は、いちいち数字を気にしていません。
測定誤差もあるし、カゼを引いても上下するからです。

そんなことよりもっと大事なことがあります。
それは全体として肝臓の働きがバランスを保っているかどうかということです。

いまは肝硬変になっても20も25も長生きできる時代なのです。
実際に、私たちの患者さんの中にもそういう人はたくさんいます。

その間、数字は下がっているときもあれば、上がっているときもあります。
そして、そのときそのときで一喜一憂していたのです。
一喜一憂しながら25長生きしているわけです。

どうせ長生きするなら、一喜一憂せずに、数字のことは医者にまかせてクヨクヨせずに長生きしたらどうでしょうか。

医者は数字を問題にしていません。
極端なことをいうと、数字が上がってもいいじゃないか、肝臓が働いていればいいのだ。

生活ができればいいじゃないですか。
もっと極端なことをいうと病気が治らなくても、楽しく長生きできればいいじやないですか、ということになります。

病気を無理に治そうとして、かえって早く死んでしまったということもあります。

私たちが究極に願うことは「楽しい長生き」であり、「病気のない100%完全なからだ」ではないのではないでしょうか。

たとえば、あるところに傷あとがあって、それをとるには大手術が必要でその手術も危険が伴うとなったら、手術をしないでほっておくでしょう。

しかし、一生傷あとはついています。

100%全無欠な体ではありません。
しかし、傷あととともに長生きができるのです。

肝硬変もこれと同じだと考えればいいのです。
以前、知らないうちにかかった肝炎の傷あとが肝硬変なのです。

「待つ」ことの大切さ

肝硬変というのは、いわば肝臓が障害されてそこに繊維が増えてきて、肝臓の一部が硬くなったものです。
いねばヤケドのあとの雁痕のようなものです。

ヤケドは治っても、皮膚のひきつれ、すなわち癩痕はいつまでも残ります。

肝硬変とは、このように理解することができます。

ですから、長くかかる、長く病院に通わなくてはならない、ということになりますが、といっても進行するわけでもありません。

ちゃんと注意さえ守っていれば、バランスは保たれるし長生きできるのです。

肝硬変や慢性肝炎の人は、2年も3年も通います。

そして、治らないからといってがっかりして、だんだん憂うつになり、ヤケになり、そのうち会社なんか辞めてしまって、小さなタバコ屋でも開いて細々と暮すか、などと考えるようになります。

この「小さなタバコ屋」という発想はみんなに共通しているようで、「いや、実は私も同じようなことを考えていました。
仕事をやめて、タバコ屋をはじめることを本気で考えていたものです」という人が何人もいました。

3年たっても治らなかったのに、5年目で正常になったという慢性肝炎の人がいます。
肝硬変で4年目以後、数字がまったく正常化してしまったという人もいます。

このように肝臓病の治療には根気がいります。
そして「待つ」ということ、がとても大切なのです。

プロフィール


サイト管理人:藤田 正
某病院につとめる中年男性。
みんなで楽しくお酒をのむことが大好きです。

お酒にまつわるちょっと怖い話や、
安全なお酒の飲みかたを紹介させていただきますので、
ビールを片手に楽しく読んでいただけたらと思います。